第158章 柔らかくならないわけがないだろう?

宿舎へ戻る道すがら、南雲玲奈はほとんど本能だけで、小泉大輔のあとをついて歩いていた。

隣で小泉が何か話している気配はある。けれど、耳に入ってこない。頭の中が、ふわふわと遠い。

――段差をまたいだ瞬間、つま先が引っかかった。

「っ……!」

よろけた身体を、すぐ横から支えられる。

「大丈夫か?」

小泉大輔だった。整った眉と目元に、わずかな心配が滲んでいる。玲奈はまだ心臓がばくばくしたまま、彼を見上げて頷いた。

「わ、私は……大丈夫です」

そう言ってから、眉間を指でつまむ。自分でも情けないくらい、意識が散っていた。

「すみません。さっき……疲れすぎてて。何を言ってたのか、全然聞こ...

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